代表世話人 挨拶

   代表世話人 医療法人リムズ徳島クリニック 小川佳宏

 このたび令和2年8月30日開催の日本リンパ浮腫治療学会四国地方会世話人会において、加藤逸夫前代表世話人の後を継ぎ代表世話人を拝命いたしました。今後も四国各県の世話人の先生方とともに、四国でのリンパ浮腫診療の発展に貢献できる様に活動させていただきます。またこの機会に、本会の歴史と四国と関連が深い複合的理学療法の歴史についてまとめさせていただき、代表世話人就任の挨拶に代えさせていただきます。

 まず本会の歴史ですが、前身は四国四県でのリンパ浮腫治療の啓発と普及を目的に平成20年に設立された「四国リンパ浮腫治療懇話会(以下懇話会)」です。同年に四国がんセンターで第1回目の懇話会が開催された後、各県持ち回りで医療従事者向けの講演会とともに市民公開講座を毎年一回開催し、平成28年までに計第9回の懇話会が開催されました。その後平成28年に「日本リンパ浮腫治療学会」が設立されたことに伴い、同年の懇話会世話人会で討議した結果、懇話会を発展的に解消し「日本リンパ浮腫治療学会四国地方会(以下地方会)」として今後の活動を続けることになりました。平成29年6月17日に正式に設立となり、同日に第1回地方会を徳島県で開催しました。その後第2回は香川県で、第3回は高知県で開催しましたが、令和2年は新型コロナウイルス感染症の影響で延期となりました。次回は四国を一巡りした愛媛で、皆様にお会いできることを楽しみにしております。

 続いて「日本での複合的理学療法は四国発祥」ということをお話させていただきます。私は平成元年に徳島大学医学部を卒業し、加藤逸夫先生がリンパ浮腫治療を行っていた徳島大学心臓血管外科に入局しました。当時加藤先生は自らが研究されていたリンパ球動注療法とともに、ドイツで学ばれた複合的理学療法を併用する入院治療を行っていました。それまではほぼ圧迫単独であった日本のリンパ浮腫治療に、複合的理学療法を導入したのは加藤先生と考えていただいて問題ありません。その後私が加藤先生のリンパ浮腫診療を学び、複合的理学療法の普及とともに患者に対するセルフケア指導が重要という考えに至り、平成12年にリムズ徳島クリニックを開業し現在に至ります。また加藤先生が今治で入院治療を始められたため、「日本でのリンパ浮腫診療のメッカ」が四国でした。その頃から私は、複合的理学療法を普及させるべく講演活動などを行い、同時期にはリンパ浮腫治療に係わるセラピストを養成する日本医療リンパドレナージ協会も活動を開始し、ゆっくりと複合的理学療法が拡がりを見せました。懇話会が設立された平成20年は、続発性だけですが「リンパ浮腫指導管理料」が保険収載された記念すべき年です。また同時に「弾性着衣等に係る療養費の支給」も認められ、治療材料の負担額が大きかった患者に保険の恩恵が受けられる様になりました。そして日本リンパ浮腫治療学会が設立された平成28年は、「リンパ浮腫複合的治療料」が保険収載された年です。また代表世話人が交代した本年は、続発性に限られていた保険診療が、念願の原発性にも広げられた年になります。このようにリンパ浮腫に係わる保険制度の変革に合わせ、地方会も変革してきています。

 いろいろな診療科の医師や、いろいろな職種の医療従事者が、リンパ浮腫の治療に関して十分な討議を行う場として設立された日本リンパ浮腫治療学会ですが、令和元年10月には、私が理事長に就任しております。まだまだ小規模の学会ではありますが、地方会も含めて活発に活動させていただき、今後さらに有効なリンパ浮腫治療方法の改良や、さらなる保険診療の充実を実現できればと考えております。

 さいごに、地方会にご参加いただけます皆様に、今後ともご協力いただけますことをお願いいたします。

 令和2年11月吉日